スペインはクレーコートの聖地
まず、ナダルの母国スペインにはクレーコートが圧倒的に多い。子供の頃から赤土で試合をして、育ってきている。いわばホームコート。実は錦織とライバル的存在だったフェレールもクレーコートを得意としていた。彼らにとって赤土は落ち着く場所であり、戦い方を知っている。
そんなに違うの?と思われた方もいるかもしれないが、クレーコートは球の弾み方やスピードが全くといっていいほどに変化する。テニスは芝やゴムなどコートサーフェスによってボールの扱い方を変えていかないといけないため、世界中を飛び回りながら戦うテニス選手にとって、悩みの種になる。その最たる例がクレーコートなのだ。
ナダルのプレースタイルと相性バツグン
気付いた方も多いかもしれないが、全仏で使われている赤土は、球のスピードが遅くなり、バウンドが高くなる。一方ナダルのプレースタイルは、ベースラインより後ろに下がって打ち合い、とにかくフットワークでどんな球も返すストロークプレーヤーである。これがバツグンに相性がいい。
一般的にバウンドが高くなると、非常に打ちづらいもの。近年は多くのトップ選手が他のコートサーフェスではライジングといって球の上がり方を叩くストロークで速い展開のテニスをしているので、クレーの独特なバウンドにアジャストするのにかなり時間がかかる。
しかしナダルはボールの落ちかけを狙い、トップスピンをかけてコート深くを狙うスタイルなので、他の選手と比べてミスがない。さらにクレーコートでは球足が遅くなるので、ボールを拾うスタイルのナダルにとってはこれ以上ない環境となる。
トップスピンがクレーコートでは魔物と化す
テレビ中継でコートを上から見ていると、ナダルのなんてことない球を、錦織選手が上に弾いたりする場面を見た事はないだろうか?
あれこそまさにナダルのトップスピンがクレーコートで猛威をふるっている証拠なのだ。ナダルは独特なフォームで強烈なトップスピンをかけるが、もとからバウンドの高い赤土のコートによって錦織にとって非常に打ちづらいところにバウンドしているのだ。
土魔人ナダルは衰えを知らない
現在33歳のナダル。
しかしそのプレーは全盛期から衰えておらず、ネットプレーの向上などでもう一段上がったのではないかと言われるほどです。
そしてそれを実現するメンタルこそが、ナダルの強さの秘密なのかもしれません。